紹介するのは『ヴォイニッチ・ホテル』以来となる、道満晴明の作品である。なお、これは上巻だが、おそらく上下巻の二巻完結になるものと予測されている。
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目次
漫画「メランコリア 上」あらすじ
本作品は連作短編集だ。
多少繋がってるような繋がってないようなああでもこの話とこの話は同じ設定が使われてるな、みたいな感じの繋がりっぷりで連作していく。だがタイトルなので、いちおう重要な設定について語っておこう。
タイトルになっている「メランコリア」とは、彗星の名である。だいぶ前から天に浮かんでいるが激突までにはまだ間があり、人類は終末までの残された日々を過ごしている。らしい。
漫画「メランコリア 上」ネタバレ
Apocalypse(終末)
いわゆる終末世界ものなのだが、猫が喋るファンタジックな世界観。10年引きこもっていた女性が、外に出て見たら世界は滅びていて……。
Bobby Fischer(ボビー・フィッシャー)
ボビー・フィッシャーというのは実在の有名なチェスプレイヤー。天才的なチェスの才能を持つ少年と、ショタ趣味を持つお姉さんの、いわゆるオネショタ恋愛ものである。
Cutthroat(殺し屋)
『ヴォイニッチ・ホテル』と同じ世界観であるらしく、「殺し屋ランキング」のある世界。86位の殺し屋が、ターゲットの少女から「私が死んだ後でいいから、私の依頼を受けて」と頼まれる。
Do not disturb(入室禁ず)
『ヴォイニッチ・ホテル』が舞台であるらしくエレナが出てくる。ホテルの一室で死んだ小説家の亡霊が、新人のメイドを部屋に誘い込み、自分の作品が完結するまで続きを書けと言うのだが……。
Efficacy(効能)
血液を凝固化して、運搬可能にする研究のために治験のバイトを雇う吸血鬼の研究者たちの話。
Fafrotskies(ファフロツキーズ)
竜巻に巻き込まれていろんなものが飛ばされるシュールな漫画。やや百合。
Gestalt(ゲシュタルト)
これも百合。ゲシュタルト崩壊で恋愛と言う感情が分からなくなった少女の物語。
Handspinner(ハンドスピナー)
この話でメランコリア彗星が初めて出てくる。少年が銃を乱射し、宇宙人からもらったハンドスピナーを回すと時が巻戻り……。でも問題は何も解決しない。何ともシュール。
Internal organs(内臓)
生きたまま人間の臓物を抜き出す(そしてなぜか死なない)臓抜きなる技術で好きな人の臓物を手に入れ、それに惑溺(わくでき)する奇妙な少女たちの姿を描く。
Juvenile(少年期)
少年がよく分からない理由で性転換するトランスセクシャルもの。なんとなくほのかに恋愛ものなのだがやっぱりシュール。
Kidnap(誘拐)
86位の殺し屋の人が再登場。何が起こってるのかよく分からないだが、ヒーローとして覚醒した少年のさまにならないデビューを描く。
Labyrinth(迷宮)
引きこもりの少女と友人の少年の物語。メランコリア彗星が地球に衝突する、という話がここで初めて確定する。
Melancholia(憂鬱)
死病を患う少女と、無職(元警官)の男が山登りをして、少女がメランコリア彗星に願掛けをする話。
漫画「メランコリア 上」感想
この作者に特有の、けだるい空気感がたまらない。
ちなみに既にお気づきの方もおられようが、タイトルの頭文字は「A、B、C」と続いている。おそらくはZまで続いて終わるのであろう。
メランコリア彗星の話がクローズアップされてきたところであるが、ここからどうやって幕を下ろすことになるのか楽しみだ。
メランコリア 上
ショートストーリーの名手・道満晴明が描くメランコリックオムニバス! 世界の終わりが近づく中、人は何を思うのか!? 楽しいだけじゃ、穏やかなだけじゃ、幸せなだけじゃ、人生はつまらない。「憂鬱」それは甘くて苦い蜜の味――…。読むほどに絡み合っていく、巧妙なストーリーギミックとじわじわと心を侵すメランコリックな物語!!
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